主権侵害(平成20年)                             寺岡  誠
本年6月16日、午前5時50分、「魚釣島」の西南西沖22Kmから日本領海内に台湾の巡視船等4隻が侵入。
 警戒中の第十一管区海上保安部の巡視船が領海外へ出る様に警告、だが無視して魚釣島の手前11Kmまで侵入、更に台湾巡視船6隻が追加して一時は緊迫したが、海上保安庁の巡視船が再度警告を発した為、同船団は針路を変え、午前8時45分頃、侵入していた民間抗議船1隻台湾巡視船9隻の全てが領海外へ出た。
 事の発端は本年6月10日、尖閣諸島沖で領海侵犯していた台湾船と海上保安庁巡視船が衝突して台湾船が沈没し、台湾の船長が軽傷を負う事故が起きたのが起因で、事故に反発した台湾の行政院長(首相)は13日、「最後の手段として開戦も排除しない。」等と妄言を発し、外交
部も対日窓口の事務局を閉鎖した。
 今回の抗議船団は、15日の午後10時半(現地時間)、
「全家福6号」に反日活動家12人(リーダー・黄錫鱗)と、台湾
の報道関係者35人を乗船させ、「打倒日本」等を連呼。
 更に海岸巡防署(台湾海上保安庁)が、「我々の領海なのだ
から本来は行って良い」と発言する等、行政院(内閣府)が領海
侵犯を公認して出港させた。
 その際、海岸巡防署は「主権の擁護と台湾人民の安全」及び
「抗議船と付近の安全確保や、問題が発生した場合は日本側
と対話する様に」と巡視船々長に命令。                                                                       
 こうした強気発言の背景は、対日政策を優先させて来た「陳
水扁前総統」とは違い、中国との対話に積極的で、尖閣諸島の主権問題には強硬派で知られる「馬英九」が総統に就任したからだ。
 今や台湾は「反日・好戦」が漂うプチ中国で「魚釣島」強奪へ向けた強硬論派が台頭し、加えて台湾紙も、日本と台湾の軍事力比較表を掲載する等、国民へ「愛国・忠誠心」の高揚・扇動し、更なる「反日・対決姿勢」を煽り、その後盾で意気込む立法委員(国会議員)が「戦争も辞さぬ。軍艦を出動させよ!」等と強硬に主張した為、18日には「魚釣島」へ軍艦を派遣すると構えた。
 これに危惧した日本の「交流協会台北事務所」は、HPで「台湾で生活する日本人の安全が脅かされる可能性が有る。」と、注意を喚起。
 他方「対決姿勢は得策では無い」と、総督府や国民党主席が強硬派の説得に当たり、軍艦の派遣は見送った。
だが、これで問題が解決した訳では無い、反省点は我が国が中・台との外交摩擦を恐れる余り友好関係を優先し、例年繰り返えされる不法侵入に対し、逮捕や何等の制裁処置も行わず、今日まで看過して来た代償で有る。
 要するに政府の優柔不断な姿勢が「主権侵害」を許しているからで、政府は竹島・北方領土問題同様に、口先だけの主権を唱え、腫れ物に触るが如く姑息で、真正面から問題提起や本気で解決をする気も無い。
 敵(台湾)を誉める気は全く無いが、今回の海岸巡防署(台湾海上保安庁)の如く主権を主張する為に、毅然たる行動(示威)を執らせるだけの勇気(決断)と責任感(後ろ盾・保障)は、残念乍、我が国政府には微塵も無い。
 国境で日本国領を死守しようと日々命を賭け、警戒に当たる「海上保安官」の苦難と歯噛みを知り乍、敢えて「事勿れ主義」で無視をしている。
 閣僚・国会議員(辞めれば、ただの親父)は任期が優先で、無責任は当然だが、これでは現場の士気も下がる。
今回の事件は独立国家「日本」への明らかな主権侵害戦争挑発で有り、銃火器を装備(台湾巡視船)した抗議船団全てを日本が撃沈しても、「自存自衛」の為の武力行使は国際法に照らしても合法で有り、認められている。
 その危険を承知で台湾当局が加担した今回の行為は、国際法を無視する常軌を逸した戦争挑発行為で有る。
今回の侵犯を政府が例年通りに処理するならば、中・台の領土拡張の野望が益々高まり、今後は公然と抗議船の人民保護や安全確保等の名目を掲げて巡視船や軍艦を随伴させる等で、今後も我が国の主権を脅かす行為が繰り返されるで有ろう事を我が政府は強く念頭に置くべきだ。
 依って、我が国が取るべき道はただ一つ、領土保全と主権確立の為、国境警備を主目的とした自衛隊等の実戦部隊を配備し、国家の主権を明確にすべきで有る。
 
台湾抗議船と台湾巡視船(真ん中の2隻) を警戒する                                                       海保・巡視船、奥と手前=16日・海上保安庁撮影
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